ウェルスナビ 2年間のパフォーマンス検証

ウェルスナビは、その資産運用アルゴリズムをホワイトペーパーという形で公開しています。今回は、そのホワイトペーパーに書かれている期待リターンの値が実際に達成できているのかどうか、私の2年間の運用実績と比べてみたいと思います。もちろん、長期投資の観点からは2年間という期間は短く、実績が期待リターンを下回ったからといって問題だとかは言い切れません。ウェルスナビもコラム等で繰り返し「1年や2年といった短期で成否を判断することはできません。」と注意を促しています。あくまで中間的な評価であると割り切って検証してみましょう。

 なお、本来はドル建てで評価するべきところではありますが、最近は為替レートの変動が比較的小さいので、簡易的に円建てで評価します。

 

リスク許容度5の期待リターン

まずは 期待リターンを見てみましょう。下図はウェルスナビのホワイトペーパーから引用したリスク許容度毎のリスク/期待リターンの関係です。私は「リスク許容度5」で運用していますが、その期待リターンは6.16%程度になっているようです(1%の手数料控除後)。ただし、この値はあくまでも確率モデル上の推定値ということですので、実際にこのリターンが保証されるということではありません。*1f:id:curvex:20200113222732j:plain

期待リターンが6.16%ということは、100万円で運用を開始すると1年後には106万1600円になっている可能性が高いということです。ただしリスクが12%程度あるので、市場環境が良ければ118万円くらいまでは十分想定できるし、逆に悪ければ94万円まで減ることを十分に想定しなければならないということでもあります。環境変化がもっと大きければ、これ以上の振れ幅になることもあり得ます。

 

 2018年~2019年(2年間)の運用結果

それでは実際の運用結果と比較します。私は毎月末に記録をつけているので、月ごとの比較になります。また、私が運用を開始したのは2017年の8月なのですが、毎月15万円の積立を始めたのが2018年1月からなので、2017年12月末からの検証とします。なお、2017年12月末には100万円の入金額が110万1019円に増えていたので、この金額から運用を始めたと考えることにしましょう。

以下の図がその結果です。

f:id:curvex:20200113225958j:plain

入金額の合計を面グラフ、6.16%で運用できた場合の期待リターンを紺の曲線、実際の運用結果を青の点付き折れ線で示しています。

2019年末時点で、運用実績が期待リターンをわずかながら(2万円ほど)上回っています。しかし残念ながら、ほとんどの期間で期待リターンに届いていなかったということがわかりました。この結果をどう解釈したらよいのか、大変興味深い問題です。

 

 この結果をどうとらえたらよいのか?

 最も楽観的な解釈は、「これまで相場が弱すぎただけであり、ようやく中立に戻ってきた。これからも上昇は続く。」というものでしょう。さすがにこれは楽観的すぎるかもしれません。直近の米国株は最高値を更新しながら推移しています。しかし日欧株や新興国株は必ずしも米国株に追従していませんので、今後は日欧株や新興国株が挽回していくというシナリオは描けるかもしれません。

逆に、「モデルが強気すぎる」という解釈もあり得ると思います。ウェルスナビのホワイトペーパーはこれまでおおむね1年ごと見直されており、更新されるたびに期待リターンが上昇してきています。直近の株高を踏まえて上方修正しているのだと思いますが、今回の計算は最新の期待リターンを2017年末にさかのぼって適用しているので、この意味でも結果が高めに出てしまっていると思われます。*2

いずれにしても、どのような解釈が正しかったのかは後になってみないとわかりません。本Blogではこれからもこういった分析を続けていきたいと思いますが、一つだけ言えることは、長期投資の立場からは、この結果を見て今のうちに売ってしまおうなどとは考えないほうが良いということです。

 

*1:各資産クラスのリターンをBlack-Litterman モデルを利用して設定し、ポートフォリオ保有比率をかけて合算しているようです。詳しくはウェルスナビのホワイトペーパーを見てください。
↓ページ下部にpdfファイルへのリンクがあります。
WealthNavi(ウェルスナビ)| ロボアドバイザーで全自動の資産運用

*2:リスク許容度5の期待リターンは、2016年10月に5.56%、2018年1月に5.89%、2019年4月に6.16%でした。いずれも筆者調べ