ウェルスナビ 外国税額控除を受ける方法

ウェルスナビを利用している方の多くは「特定口座(源泉徴収あり)」を選択されているのではないかと思います。確定申告が原則として必要ないことが最大のメリットではあるのですが、それでも確定申告をしたほうが良いと思います。それは、確定申告により外国税額控除が適用され、運用額の概ね0.1%から0.2%の還付を受けることができるからです。この記事では、実際に私が行った作成例をご紹介したいと思います。

初めて確定申告するという、会社勤めの方に

国税額控除を受けるためには、外国税額控除に関係する部分だけでなく、申告すべき年間の収入と控除のすべてを書類に反映し、申告しなければなりません。最近は会社員の方でも確定申告が必要となるようなケースが増えています(副業、ふるさと納税など)ので、まずは確定申告の基本についてざっとお話しします。

確定申告書類はWebブラウザで作成します。「確定申告」で検索し、トップに出てくる国税庁の専用ページからアクセスしましょう。作成した書類を印刷、捺印して税務署に提出するか、e-TAXによる電子申告かを選択します。書面での提出の場合、住所に応じて提出する税務署が決まっているので、インターネットで確認しておきましょう。令和元年分の申告期間は2月17日から3月16日までで、期間中に数回、日曜受付をしている場合もあります。e-TAXではすでに受付を開始しており、マイナンバーカードによる認証か、ID/パスワード方式があります。ID/パスワード方式のID(利用者識別番号)は税務署に行って発行してもらう必要があるので、初めは書面で提出することにして、ついでにIDを発行してもらうようにすればよいと思います。

会社員の方であれば、作成の前に以下のような書類を手元に用意しておきます(あくまで例です)。基本的にこれらの内容を転記していけば、申告書類は完成します。

  • 源泉徴収票(副業などで2か所目から給与があれば、それも)
  • ウェルスナビから電子発行される年間取引報告書(他の証券会社での取引があれば、それも)
  • 控除証明書(生命保険など、年末調整していない場合)
  • 寄付金受領証明書(ふるさと納税など行っていれば)
  • 医療機関、薬局等の領収書(年間の医療費が10万円を越えた場合)

書類作成では、大きく「収入金額・所得金額」、「所得控除」、「税額控除・その他の項目」の3段階で入力していきます。

下図は、収入金額・所得金額の入力ページです。会社員の方は、「給与所得」の部分に源泉徴収票の内容を転記していきます。

次の「所得控除」の欄では控除証明書や、寄付金受領証明書の内容を転記します。ふるさと納税は、寄付先の自治体をメニューから選択して入力できるので、とても簡単に申告が完了します(地味ながら、日本の国税関係者の努力に感謝)。

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ウェルスナビ取引の申告

前項でも触れたとおり、外国税額控除を受けるためには、確定申告として必要な収入と控除をすべて申告する必要があります。本項では、ウェルスナビの年間取引で生じた税額を申告します。収入金額・所得金額の入力ページに「株式等の譲渡所得等」という項目があるので、ウェルスナビから電子発行された年間取引報告書の内容を転記していきましょう。

日本の税法上、配当は「総合課税」か「分離課税」を納税者が選択できるようになっていますが、「分離課税」を選択します。譲渡損益と通算できるのは分離課税のほうなので、DeTAXで損益通算還付を受けている場合など、特に注意してください。

以下のように、年間取引報告書と全く同じスタイルで入力することができました。最後の納付税額の部分については、すべての入力が終わって次ページに移動する際に「差引金額の15.315%になっていないので確認してください」という趣旨のメッセージが表示されます。これは外国所得税がその計算に入っていないため表示されるメッセージで、間違いではないので私はそのまま次に進みました。

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ウェルスナビ年間取引報告書の一部

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確定申告入力画面

 

上図の「譲渡損失の金額」は、ウェルスナビのDeTAX(税金最適化)機能のおかげで実現した課税ベースの低減額です。その結果、81,429円の配当に対して65,867円を差し引くことができ、課税ベースは15,562円にまで低減しました。

納付税額は、外国税額である8,108円を控除した7,454円に対して15.315%の所得税(1,141円)、5%の住民税(372円)と、ずいぶん低額になりました。

※実際には税の繰り延べですので、運用終了時にはきちんと課税されます。

なお、以前の記事でDeTAXの効果を解説しましたが、私のミスで「税金コスト」の集計値に45円の誤差がありました。上記の額が正しい値です。

 

curvex.hatenablog.com

 

国税額控除の入力

「収入金額・所得金額」、「所得控除」を入力し終えたら、いよいよ外国税額控除の入力です。「税額控除・その他の項目」の下のほうにある「外国税額控除」を押します。

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1項では外国所得税額を入力します。基本的にウェルスナビの年間取引報告書の内容を転記するだけですが、ここでは少し知識も必要です。所得の種類は「配当」、税種目は「源泉所得税」などと入力します。1年の取引をまとめて入力するので、計算期間は平成31年1月1日から令和1年12月31日と入力しました。

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2項にある「調整国外所得」とは、その年分の国外所得金額(ただしその年分の所得総額まで)のことです。ウェルスナビ以外で外国から所得がある方は、それらの総額を入力します。外国税額控除には限度額があり、その計算に国外所得金額が用いられているため、ここで入力が必要になるというわけです。

私はウェルスナビ以外に外国所得がないため、上記記載の81,429円と同一額をここに記載しました。

続く3項と4項では繰越控除余裕額または繰越控除限度超過額と、繰越控除限度額を入力します。ここは前年の確定申告のコピーをみながら転記していけば大丈夫です。初めて外国税額控除を申告する方は0円と入力してください。なお、3項では余裕額か超過額のいずれか一方を入力することになっていますので、どちらか数値のあるほうを記載しましょう。

以上を入力すると、外国税額控除額が自動計算されます。限度額があるので、多くの場合満額は難しいと思いますが、80%程度は還付されることになると思います。

最後に、家族の情報や還付用の銀行口座の情報を入力すれば確定申告書類は完成です。還付金は、提出後1か月程度で銀行口座に振り込まれます。

 

確定申告は税金のことを理解するチャンスでもある!

ウェルスナビは、税金も含めたすべての資産運用をお任せできることがメリットではあるのですが、外国税額控除だけは確定申告が必要です。外国税額控除の限度額は各個人の所得や納付税額に応じて変わってくるので、これを含めてウェルスナビが自動で行うことは、将来的にも難しいのではないかと思います。

そこで、これを機会に「税金のことを理解するチャンス」と割り切って、確定申告をやってみることをお勧めします。

最後に、本記事でご紹介した内容は私の作成例であり、誤りがないことを保証するものではありませんので、ご了承ください。