リスク許容度別下落率 ~コロナショックが直撃した1か月

今回のコロナショックで、S&P500指数は2月19日の高値から一時27%の下落となりました。概ね同じような期間(約3週間)で測った最大下落率で比べても、2011年の欧州債務危機、2001年のITバブル崩壊を超え、リーマンショックと肩を並べる水準だったということです。

高値を含む週から数えると、3月13日で終わった週がちょうど4週目となりました。今回の記事では、この4週間(約1か月)の下落率を、ウェルスナビのリスク許容度別に示します。

資産クラス毎の下落率

以下の図は、ウェルスナビのポートフォリオを構成する資産クラス毎の下落率です。(すべてドル建てです)

米国株(VTI)、日欧株(VEA)はいずれも20%超の下落となりました。VTIはS&P500指数とほぼ同水準の下落、VEAは25%に迫る勢いです。オリンピック開催可否に揺れる日本市場、パンデミックの中心となっている欧州市場はともに大きな不安に包まれていることがわかります。

新興国株(VWO)も大幅に下落してはいますが、危機が早く訪れた分だけ他市場に比べれば緩やかな下落となっています。

米国債券(AGG)は3月6日で終わる週まではプラスで推移していましたが、3月9日以降急落し、マイナス圏に突入しました。安全資産といわれる金(GLD)もマイナスとなり、全面安を強く印象付けました。不動産(IYR)の下落も株式並みとなりました。

右から二番目には、ウェルスナビのリスク許容度「5」のポートフォリオ下落率を示しています。これは各資産クラスの下落率に配分比率をかけて和を求めた理論値です。その右に、ウェルスナビの運用で私が実際に経験した損失(下落率)を並べていますが、ぴったり一致していることが確認できます。(リスク許容度「5」で運用しています)

これだけの損失をわずか1か月で経験したわけですが、米国株100%や日本や欧州株100%で運用していたより、少しはマシだったことがわかりました。

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リスク許容度別の下落率

先ほどと同じく、各資産クラスの下落率に、リスク許容度別のポートフォリオ配分比率をかけて和を求めることにより、それぞれの下落率を計算しました。

リスク許容度に応じてきれいに下落率が並んでいますね。

リスク許容度1では、リスク許容度5に対して下落率が半分くらいになっています。

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こういう図を見ると、「今からでもリスク許容度を見直した方がよいのだろうか?」という気持ちになるかもしれません。

でもそれが、「下げ止まるまでは一時的にリスク許容度を下げておいて、戻りを確認したら元に戻そう」という種類のものであったら、やめておいたほうがよいかもしれません。よっぽど自分なりのルールや流儀が確立しているのであれば別ですが、たいていの場合は裏目に出て悔しい思いをすることになるのではないかと思います。

長期的にみて、「やっぱり自分のリスク許容度はもっと低いことがわかった」という場合は、見直してみてもよいかもしれません。見直しのタイミングもまた難しいですけれどね(笑)

理想的なのは、成功裏に資産が増え、取り崩しフェーズに入ってからリスク許容度を下げる、というものですね。そんなにうまくはいかないと思いますが。